【脱毛の原理】毛が生えなくなる仕組みを解説

なぜ光を当てるだけで毛が「生えなく」なるのか?
施術後に毛が「スルッと抜ける」のはどうしてか?

その仕組みを解説します。

脱毛方法はイロイロありますが、原理は全て同じ。
毛穴の奥にある毛の工場「毛乳頭」を壊してしまうことで、毛が作られなくなる、という仕組みです。

脱毛で毛が生えなくなる仕組み

脱毛の方法にはニードル脱毛、医療レーザー脱毛、サロンの光脱毛と、大きく分けてこの3つがありますが、
毛が生えてこなくなる原理はどれも同じです。

「毛乳頭」という毛を作る組織にダメージを与えて破壊することで、毛を作る機能を失わせるのです。

毛の工場「毛乳頭」とは?

毛は「毛乳頭」という組織から生えてきます。

毛乳頭は毛穴のいちばん奥、毛の根元部分にあり、
毛(毛母細胞)に栄養を送ったり、毛の成長を指令したりする、毛の生産工場のような組織です。
※ 「毛」は、毛母細胞が分裂して作られます

この毛乳頭がなくなってしまうと、
毛に栄養が届かないため、毛母細胞が分裂できず毛が成長できません。
また、「毛よ伸びろ」という指令も発せられなくなるので、毛は成長しようともしなくなります。

毛は毛乳頭なしで生えることはできないのです。

余談かもしれませんが、中高年男性に多い頭の薄毛は、頭頂部の毛乳頭が弱って毛が作れなくなることで起こります。

この症状を人工的に体毛に起こすのが脱毛の仕組みです。

脱毛は、毛乳頭「だけ」を壊す技術

「毛乳頭にダメージを与えて機能できなくする」
というのが、毛が生えなくなる仕組みだということまでお話ししましたが、

では、

  • どうやって毛乳頭を破壊するのか?
  • 毛乳頭以外の組織は無事なのか?

というお話をします。

まず、毛乳頭だけにピンポイントでダメージを与えることは不可能です。
毛乳頭の周りにある毛穴内部の組織や、お肌も一緒にダメージを受けてしまいます。

でも最終的には毛乳頭だけが破壊されます。

これは、毛乳頭細胞がほとんど「回復しない」ことを利用しています。

毛穴内部の組織やお肌は毎日、新陳代謝(細胞の生まれ変わり)を繰り返していますので、ダメージを受けても回復します。

ところが毛乳頭はほとんど新陳代謝をしないので、受けたダメージを回復できないのです。

そのため、何度も脱毛施術をするたびに毛乳頭だけにダメージが蓄積されて、やがて機能しなくなってしまうのです。

毛の工場「毛乳頭」を壊す方法イロイロ

脱毛の方法にも、

  • レーザー脱毛、IPL脱毛、S.S.C脱毛
  • SHR式レーザー脱毛、SHR脱毛
  • ニードル脱毛

と、イロイロありますが、

どれも「熱」で毛乳頭を「焼く」という原理は同じです。

一つ一つ見ていきましょう

レーザー脱毛、IPL脱毛、S.S.C脱毛

クリニックのレーザー脱毛とサロンのIPL脱毛は、使用する光の種類やパワーは違いますが、脱毛の原理は同じです。

特定の周波数の光を照射すると、毛の「黒い色」に反応して、毛が発熱します。
黒いものに照射すると発熱する光なので、肌に当てると「毛だけ」が発熱する仕組みです。
※ ホクロやシミ、タトゥーにも反応します。
この熱で毛乳頭にダメージを与えるのです。

  • レーザーは脱毛の周波数ピッタリの強力な光。
  • IPLはその周波数に近い、様々な周波数の光
  • S.S.Cは、IPLの光とジェルの制毛効果をミックスさせた脱毛方法

もちろん、レーザーが最も強力な光です。

ちなみに、医療レーザー脱毛は1回の照射で毛乳頭が破壊される毛もでてきます。

サロンの光では1回で毛乳頭を破壊することはできません。
それでも、何度か照射することで徐々に毛乳頭は弱っていき、最終的に毛は二度と生えてこない状態になります。

SHR式レーザー脱毛、サロンのSHR脱毛

SHR方式は「蓄熱式」とも呼ばれる、低温で処理する脱毛方です。

同じ箇所に短時間で何発もの光を照射することで、毛乳頭付近に熱を蓄積させてダメージを与えます。

一回照射するごとに肌表面は冷却されるので、皮膚近くの温度は低いままで、毛乳頭の周りだけ高温に発熱させることができる、新しい技術です。

クリニックでは強力なレーザーを使用し、サロンでは特殊なランプの光を使用します。

このSHR方式の脱毛は、かつては毛穴の「バルジ領域」という部分にダメージを与える脱毛方法と紹介されることもありましたが、これは間違いです。
バルジ領域が完全に破壊されても、毛乳頭が残っていれば毛は生えることが明らかとなっています。

ちなみに、バルジ領域は「毛包」(毛穴内部の組織)の一部で、壊れても再生します。
この毛包を作り出す指令を出しているのも、毛乳頭です。

ニードル脱毛

ニードル脱毛は、電気脱毛、針脱毛、電気針脱毛などいろんな呼び方をされます。

これは、毛穴にブローブと呼ばれる針を差し込んで電流を流すことで、毛乳頭付近を熱で焼く方法です。

毛乳頭に直接的にダメージを与えるため、処理した毛乳頭は1回でほぼ100%破壊できる、最も強力な脱毛方法です。(毛周期の関係で処理は数回必要です)

数ある脱毛方法の中で最も古い方法で、
費用が高い、すごく痛いなどのデメリットが多く、今ではあまり使われていません。

脱毛施術後に毛がスルッと抜ける仕組み

脱毛施術を受けると、1週間~3週間後に毛がスルッと抜けます。

パワーの差によって抜け具合は違いますが、

  • レーザー脱毛ならほとんど抜けます。
  • サロンの光(IPL)脱毛は、ある程度抜けます。
  • サロンのSHR脱毛は、ほとんど抜けません。

やはりレーザーが最も抜けやすく、抜けるまでの期間も短いです。

毛が抜けるのは「毛乳頭が破壊されて、毛が生えない状態になったから」・・・ではなく、
単なる「脱毛時の刺激」によるものです。

そのため、IPLと変わらない脱毛効果があるSHR脱毛は、刺激が少ないため毛が抜けにくいです。
SHR脱毛は「効果が出るのが遅い」といわれていますが、その理由は「刺激が弱いので抜ける毛が少ない」からです。

ではなぜ刺激を受けると毛が抜けるのか?というと、
この刺激により一時的に血行不良を起こすためだと考えられています。毛乳頭周辺の血行が悪くなると毛の栄養が滞ってしまうため、成長できずに抜けてしまうのです。

もちろん、毛がスルッと抜けても毛乳頭が生きている限りまた生えてきます。